更新情報
- 2025/07/22: AzooKeyKanaKanjiConverter のアップデートで AZIK 対応周りが改善されたので、AZIK への対応方法を更新
- 2025/07/19: 「きょう」の変換で現在の日付が入力できない問題の解決方法を追記
Mac 版の azooKey を数日使ってみて、かなり感動したので布教です。
azooKey とは
azooKey は iOS / iPadOS 向けの日本語キーボードアプリです。 また、Mac版の IME として azooKey-Desktop も提供されていて、今回紹介するのはこちらの方です。
Mac 版は現在 alpha 版として公開されており、動作保証はされていませんが実用できるレベルになっていると感じます。 (実用性については個人の使い方にもよると思うので、ぜひ一度試してほしいです。)
具体的な特徴についてはおすすめポイントとともに触れていきます。
気に入っているポイント
⭐ ほかの IME とは一線を画す賢さ
AI変換の新機能! pic.twitter.com/88xwMyAqkX
— Miwa - azooKeyの開発者 (@miwa_ensan) July 31, 2024
通常の IME は変換対象の文章に対しては、文脈を汲んだ変換をしてくれますが、すでに入力済み の文章は考慮されません。
これがかなり革命的だと思っていて、普段の入力で、細かく変換を確定する人、入力した後によく文章を書き換える人にはぜひおすすめしたい機能です。
具体的なケースでは、通常の IME だと以下のようなことが起きますが、azooKey ではこれが解決できます。
⌨️(入力): 「かなり感動したので共有です」
💭: やっぱり「共有」じゃなくて「布教」がいいな
⌨️(削除): 「かなり感動したので|です」
⌨️(入力): 「かなり感動したので不況です」
私はこのようなミスを頻繁にやらかすので、azooKey を使う大きな理由になっています。
実際に入力速度に影響があるのか調べたかったので、 タイピング速度測定 で Google 日本語入力と azooKey で WPM(Words Per Minute) の比較を行いました。
正確率100%になるようにそれぞれ5回ずつ試したのですが Google 日本語入力と比較して azooKey のほうが 8% ほど 速い結果となりました。
「自信/自身」「速い/早い」などで変換の手間が発生したり、誤変換のあとに修正したのが響いてそうです。
また、気づかない誤変換が減るのもいいと思います。
正しい入力をしたつもりがミスっていることはよくあって、「確率/確立」「捕捉/補足」「保証/保障」のような勢いで入力していると見逃しそうな変換ミスも減ると思います。
見た目がいい
というか、Google日本語入力の見た目がイケてない。明らかに Mac の世界で浮いてる。
Google 日本語入力 | Mac 標準 | azooKey |
---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |
なにこれ? | 安定 | Mac 標準に近い見た目 |
OSS であること
azooKey はありがたいことに OSS になっています。私は、コードを少し修正して手元でビルドして使用しています。
手元でビルドしているのには以下の理由があります。
- キーバインドへの不満
- 特殊な入力方式への対応
キーバインドについては細かいですが、Ctrl + M
の変換の確定がなかったため修正しています。Pull Request も依頼したので問題なければ マージしてもらえると思います。 マージしていただけました!(感謝!)
そのほかに気づいたところだと、 Tab による候補のナビゲーションもないです。私は使わないので、とりあえずは対応を見送りました。
Tab は将来の機能のために予約されているとのこと。
特殊な入力方式については、私は AZIK という入力方式を採用しています。
これに対応するには IME 側に高度なカスタマイズ性が必要です。それがGoogle日本語入力を使っていた大きな理由の一つでした。
具体的にはローマ字の変換テーブルをカスタムする必要があります。azooKey にも Issue は上がっているのですが、対応は難しそうです。実際、手元でコードを書き換えた感想としてもなかなか大変そうに感じました。
(追記: 2025/07/22) AzooKeyKanaKanjiConverter の v0.9.0 のアップデートでローマ字変換テーブルのカスタマイズがしやすくなりました。比較的に近い将来、手元でビルドしなくともテーブルを差し替えられそうな気配を感じています。
気になるポイント
サードパーティのターミナルアプリの動作
これについては azooKey は一切悪くない。
すでに説明したように azooKey はカーソルより左側の入力済みのテキストをコンテキストとして渡す機能があります。しかし、ターミナルではこの情報が取得できません。
WezTerm
, Ghostty
, Alacritty
, iTerm2
などを試しましたが全滅でした。
Mac 標準のターミナルアプリでは動作したので、アプリ側の問題だと思います。(なんでダメなのか・解決方法があるのかなどの詳細は不明)
Neovim を愛用していてターミナルでの文章入力の機会が多いので割と悲しいポイントです。
「きょう」の変換で現在の日付が入力できない
これは IME の仕事なのかと言われると微妙なのですが、他の IME では「きょう」 -> 「2025/07/16」、「いま」-> 「18:03」のような変換が可能になっています。
割とよく使う機能なので地味に困りましたが、Alfred のスニペットで入力するようにして耐えてます。
X にて、解決方法を教えていただきました!本当にありがとうございます。
楽しく読ませていただきました。azooKey-macOSには日付の呪文があります。https://t.co/Swv9HWxRfE
— flowksms (@flowksms) July 19, 2025
type="japanese"で和暦にも対応します。ちなみに西暦、例えば2025年を変換すると和暦の令和7年が変換候補に。またその逆も可能です。
tabキーはTODOにある予測変換用に取ってあるっぽいですよ。
(余談)AZIK への対応
万が一真似したい人がいた場合のために要点だけ以下に示します。細かい手順は AI にでも聞いてください。
- AzooKeyKanaKanjiConverter のマッピングの書き換え
AzooKeyKanaKanjiConverter の「っ/ん」関連の入力処理の削除azookey-Desktop で記号を全角に変換するマッピングがあるので、「;/:」を除外。
(追記: 2025/07/22) 1. の手順のみで AZIK 対応が可能になりました。
おわりに
今まで IME は特にこだわりなく選んでいたのですが、選択次第で日々の入力効率に大きく影響するなと思いました。
ユーザーの使い方次第で合う合わないはあると思いますが、ぜひ一度触ってほしい IME だと思いました。
快適さのベクトルとしては Github Copilot に似たようなものを感じました。自分が入力したいこと・変換したいことを先読みしてくれるような。
今回触れていませんが azooKey には文章の続きを生成するような機能もあります。 進化していけば、あらゆるプラットフォームで動く Github Copilot のようなツールになる可能性もあると感じました。 チャットやメールなどで文章生成してくれると便利なんじゃないかなと。